直葬、初めて知った葬儀の形

「直葬」という葬儀形式があるのを知ったのは、実父の葬儀の時です。父の死は突然でした。確かに直前まで健康であったということはありませんでしたし、慢性的に体のあちこちにガタが来ており、医者に処方して貰った薬も一回に十錠ほど服用していました。しかしそんな生活が二十年以上続き「こういう人が意外と長生きするんだよ」などと家族で冗談を言い合ってました。
ある日の夜、父が呼吸困難に陥っているのを母が発見しました。すぐさま救急車を手配し病院に搬送されました。CCUという病室に入院することになり、一旦は病状も落ち着きましたが三日後当たりから病状が急変、会話もできない状態となりました。そして五日目、病院から訃報が入りました。病室にて医師と共に死亡の確認を済ませると、看護師よりすぐさま葬儀屋の手配をするよう頼まれました。もちろん葬儀屋に伝などありません。ただ以前どこかで「病院と提携している葬儀屋があるらしい」と小耳に挟んだことがあったのでその旨を看護師に伝えてみました。しかし看護師が言うには「公立の病院では癒着の元になるので提携はしていない」とのことでした。困惑しているとタウンページの葬儀社関係のページをコピーした物を持ってきてくれました。おそらく公立の病院で提供できる情報はこれが精一杯なのでしょう。お礼を言いコピーに目を通すと「直葬」という文字が目にとまりました。初めて見る単語でした。